ファイナルドリーム2023

クラブ馬同士の配合が実現 夢の結晶に二世代の思いを託す

■ピックアップコメント
黒、緑山形一文字。同じ勝負服でターフを駆けた2頭のカップリングが実現しました。

父はクラブの初年度募集馬で、デビューから3戦連続で上がり最速を記録。2018年の皐月賞で5着に入って日本ダービーへ駒を進めましたが、屈腱炎を発症して無念の引退となりました。母は2億円を超える価格で英国から輸入したフランケル産駒でしたが、4戦して勝ち上がることができませんでした。

競馬の喜びと難しさを教えてくれた2頭から生まれた本馬は、皮膚感の良さと軸のぶれない歩様に父の面影が浮かびます。つぶらな瞳は愛くるしいことはもちろん、人間の指示を素直に聞き自在に立ち回るレースぶりをイメージさせます。

競走馬としては未完に終わった2頭の思いを乗せてどんな競走生活を描くのか。壮大な物語の続きに注目せずにはいられません。

■配合診断
父キタノコマンドールは重賞2勝のデニムアンドルビーの全弟。父ディープインパクト、母の父キングカメハメハの配合はワグネリアン、アカイトリノムスメなどが出ており、ニックスとして知られます。

父の母ベネンシアドールはNureyevの4×2を抱えており、母ファイナルドリームもデインヒルの3×2という強いクロスを持ちます。強い近親配合は一般的に遺伝力が高いとされ、半姉にGI・カナディアン国際Sの勝ち馬サラリンクスを持つ母の血が開花しても驚きはありません。

父母の配合からはNorthern Dancerの5×5×5が発生。母の父Frankelの父の父Sadler’s Wellsが、父系に入るNureyevからSpecialの薄い牝馬クロスを継続し、両親の血を滑らかにつなぎました。良血を絶妙に紡いだ血統構成となっており、父母の競走成績以上のスケール感を備えています。

■特記事項(2025年5月14日現在)
2024年7月13日に歩様に乱れが生じ、レントゲン検査を行ったところ右後脚の後膝にボーンシスト(関節軟骨下骨嚢胞)が見つかり、同年7月26日にスクリュー挿入手術を行いました。術後の経過は良好で、現在は問題ありません。
※本馬の競走馬保険において、既往歴(関節軟骨下骨嚢胞)を原因とする事故については不担保となります。

(最終更新日：2025年5月14日)